「鬼滅の刃」に出てくる胡蝶しのぶのモデルと言われているのが、旅する蝶 アサギマダラです。渡り鳥は知っていても「旅する蝶」という言葉自体、聞き慣れないという方も多いのではないでしょうか。
アサギマダラは調べれば調べるほど不思議で興味深い生態を持っています。
まず最初の疑問は、どうしてか弱い蝶の身で2,000kmも旅をするのかーという点です。
アサギマダラの生育に最も適した気温は、一説によると22~26度で、19度以下、27度以上になると活動が鈍くなるそうです。つまり適応温度の幅が非常に狭いため、命を長らえ子孫を残すために、季節が変わるたびに適温を求めて大移動しているのだそうです。
移動範囲は、南は台湾・フィリピンなどの南西諸島から時に中国大陸まで、北は日本の東北地方までです。しかし、近年は温暖化の影響で北海道函館で見られたという記録もあります。
アサギマダラが羽化してからの寿命は蝶としては長めの4~5ヶ月です。北上するときは、何世代か世代をまたいで移動し、南下の際には世代交代せずに成虫のまま一気に移動します。
そして次なる疑問は、なぜアサギマダラはフジバカマやヒヨドリバナの蜜しか吸わないかーという点です。一般の蝶のようにいろんな花の蜜を吸えば、移動せずに体力を温存できるし、蜜を効率良く補給できるはずなのに。
アサギマダラは、幼虫の時はキジョラン、カモメヅル、サクララン等の葉を食べ、羽化して成虫になった後はフジバカマ、ヒヨドリバナ等の蜜を吸います。
それらの共通点は、なんと「毒」です。
幼虫でも成虫になってからも、アサギマダラは植物から蜜とともに「アルカロイド」という毒を体内に取り込んでいるのです。
その目的は、アサギマダラを襲う敵から身を守るため、そして、成虫のオスにとっては、メスを引き寄せるための性フェロモンを作るという目的もあります。
このようにアサギマダラは、防御と繁殖のために「毒=アルカロイド」が必要なので、アルカロイドを含む特定の花の蜜しか食さないのです。
それらの共通点は、なんと「毒」です。
幼虫でも成虫になってからも、アサギマダラは植物から蜜とともに「アルカロイド」という毒を体内に取り込んでいるのです。
その目的は、アサギマダラを襲う敵から身を守るため、そして、成虫のオスにとっては、メスを引き寄せるための性フェロモンを作るという目的もあります。
このようにアサギマダラは、防御と繁殖のために「毒=アルカロイド」が必要なので、アルカロイドを含む特定の花の蜜しか食さないのです。
天敵たちから身を守り長距離を安全に移動するため、また子孫を残すために体内に毒を溜めるアサギマダラは、特定の植物を求めて長距離の旅を宿命づけられた蝶でした。
ふわーりふわーりと優雅に舞う様子は、上手に風をつかみ風に乗って移動する姿を見ているようです。
このように一般的な蝶とは違うアサギマダラの生態は、謎めいていると同時にその可憐な姿に似合わないスケールの大きさがとても魅力的です。
大山のふもとの「河津さくらの丘」は、桜の足元に植えられたフジバカマが咲く10月になるとアサギマダラがやってきます。
約2週間くらいしか滞在しないので見るタイミングが重要です。去年は去った後でした。
アサギマダラは、名前の由来となっている羽のアサギ色が特徴的ですが、この薄い青色の部分が透けて羽全体がステンドグラスみたいで美しいのも人気のポイントです。
一昨年はここにもアサギマダラが数多く飛来してきたそうですが、今年何度か訪れたのに最大6頭位しかおらず群舞する光景は見られませんでした。いつかアサギマダラの群舞を見たいものです。
聞くところによると、近年は個人の庭や自治体単位でフジバカマをたくさん植えて、アサギマダラを呼び寄せる活動が全国各地で広がっているようです。
中には羽がボロボロになったアサギマダラもいました。そんな懸命な姿は見る人に勇気とパワーをくれます。












