金沢市市民協働推進課と一般社団法人コード・フォー・カナザワが協力して行うイベント「シビックテックミーティング金沢2025」が11月15日金沢未来のまち創造館で開催されました。

今年のテーマは「見えない世界 × シビックテック」。視覚障害者が直面する日常の“見えない段差”を市民が体験し、共に考えることを目的としています。
参加者は受付をすますと、アイマスクを着用して段差や階段を移動する体験に挑戦。視覚情報がない状態での不安や、周囲からの声かけの重要性を体感しました。「座るときがここまで怖いとは思わなかった」といった声が聞かれ、日常の中でも視覚が大きな役割を果たしていることを実感します。
まずは一般社団法人コード・フォー・カナザワ代表の福嶋健一郎氏のシビックテックとはという話から。シビックテックは技術だけでなく、市民の気づきから始まる」と語り、当事者の視点を学ぶ意義を強調しました。
今回は、耳の聞こえない方の参加も見込まれ、手話通訳の方3人に交代でついていただきました。
続くトークセッションでは、辻嵐飛鳥氏(アスカネット代表)と林由美子氏(鍼灸師/あうわ代表)が登壇し、働く上での情報取得の困難や、環境によって変わる安心感について話してくださいました。視覚障害のある人が日々行っている工夫や、地域の支えのあり方について共有できる機会です。

視覚障害者が外出時のトイレを利用するときのハードルの高さについては、見える人にとっては初めての気づくことが多く、驚きが大きかったです。

また、視覚障害者支援アプリ「Be My Eyes」も話題に上がりました。Be My Eyes は、視覚障害のあるユーザーと世界中のボランティアをスマートフォンのビデオ通話でつなぎ、「今見えている状況」をリアルタイムで共有してサポートする仕組みです。視覚障害の方と見える方をアプリでマッチングします。視覚障害者が、商品のラベルの確認、目的地の案内、家電の操作など、日常の“ちょっと困ったときにアプリを通じてヘルプを出すと、そのときに遠隔で目の見える人が電話を取って画面を見ながら説明をし、視覚障害の方を支えることができるのです。参加者からは「スマホ1台で見える人が隣にいる環境がつくれる」と驚きもありました。
さらに、「リアル Be My Eyes」として、参加者同士のペア体験も実施。一人はアイマスクをして見えない状態で、配られたお菓子を触ったり実際に食べたりした。もう一人の人は配られたお菓子の特徴を言葉で説明すしました。配られたお菓子は、手で触っただけではどんなお菓子が分からないものや、逆に見える人が説明しようにもうまく味が説明できなかったり、お互いの立場で気付きがありました。
講演は、金沢工業大学・松井くにお教授によるコード化点字ブロックの研究の紹介が行われました。
コード化点字ブロックとは、点字ブロックの25個の点に色を割り当て、スマートフォンのカメラで読み取ると、位置情報や案内情報を取得できる技術です。

能登半島地震のときに、加賀市のホテルに避難経験のある視覚障害の方の声
を通じて、コード展示化ブロックを壁に貼って災害時の避難支援、屋内誘導、視覚障害者の空間把握支援など、従来の点字ブロックに新たな役割を与える可能性もみえてきたという報告に新たな可能性も見えてきました。
最後の「マッチ箱交流会」では、参加者が身近な困りごとを持ち寄り、改善案を議論し、課題会場全体で共有しました。

今回のイベントは、見えない世界に触れることで、配慮や環境設計の重要性を再認識する機会となりました。金沢市とコード・フォー・カナザワは、市民協働による課題解決の取り組みを今後も継続していくそうです。