変わり続ける巨大ターミナル新宿駅。
その“今”と“昔”を歩き比べて感じたこと。

久しぶりに新宿西口へ。新卒で入社した会社は新宿西口にありました。
20年ぶり―というと少し大げさかもしれませんが、20代の頃に通っていた頃の記憶が鮮明にある分、目の前に広がる別世界の光景に軽く衝撃を受けました。
20年前の新宿西口は朝の通勤時間のゴチャゴチャ感がハンパありませんでした。独特の雑多さに満ちていました。

思い出す風景は
・思い切り煙を吐き出す喫煙所
・ガムがこびりついた地下通路
・薄暗い地下道
・タクシーの排気ガスの匂い

何より、迷宮のような地下通路の圧迫感。
「初めての人は絶対迷う」といわれるほど複雑で、正直なところ“便利だけど雑然とした都会”というイメージが強いです。

しかし2025年、久々に訪れた西口は違っていました。
まず、新宿駅西口のロータリー周辺が排気ガス臭くない。
再開発で歩行空間が広がり、ベンチや植栽も整備されて「都市の広場」らしい気持ちよさが生まれていました。地上は旅行客向けのバスの停留所となっていたのも意外でした。あの雑多な雰囲気は薄まり、海外観光客が立ち止まって写真を撮っていました。

とにかく、街の空気が急ぎ足の大都会から時間がゆっくり進むようになっていました。土曜日ということもあって静かだったのかもしれませんが、今は 広場で休む人、テラス席でコーヒーを飲む人、写真を撮る旅行者 が目立ちます。

特に印象的だったのは、かつて“迷いやすい地下世界”だったエリアがバリアフリー化され、照明が明るく、歩きやすくなっていたことでした。

20年前の新宿にあった、どこか「灰色でギラついた都会の空気」が、今はずいぶん柔らかく、開かれた雰囲気に変わっていたのです。

もちろん、変わらないものもありますが、ただ、20年前よりちょっと優しくなった。そんなふうに感じました。
20年という年月は、街を大きく変えました。東日本大震災があり、コロナがあり、大きな変化を経てもなお、歩いていると懐かしさがふと顔を出す瞬間がありました。

変化と混沌が同居する街、新宿。通過するだけの街”だった西口が、立ち止まって眺めたくなる街”になっていることが、今回訪れて一番の驚きでした。
また数年後に来たら、さらに違う表情を見せてくれるのかもしれない。