姫路を代表する古刹「書寫山円教寺(しょしゃざんえんぎょうじ)」は、西国三十三所巡礼の第27番札所として知られています。平安時代中期の966年、天台宗の僧・性空上人によって開かれたこの寺は、比叡山延暦寺の流れをくむ由緒正しい寺院です。その規模と格式の高さから「西の比叡山」とも称され、千年以上にわたり人々の信仰を集めてきました。
山全体が修行の場として整えられており、堂塔伽藍が点在する姿はまさに霊域そのもの。中でも崖に張り出すように建てられた「摩尼殿(まにでん)」は見どころのひとつで、清水寺を思わせる舞台造りの壮麗な建築が訪れる人を圧倒します。舞台からは姫路市街を一望でき、四季折々の自然と調和する景観が魅力です。
また、円教寺は映画やドラマのロケ地としても広く知られています。トム・クルーズ主演の映画『ラストサムライ』をはじめ、NHK大河ドラマ『武蔵 MUSASHI』『軍師官兵衛』など、数々の作品がこの地で撮影されました。荘厳な堂宇と深い森に包まれた神秘的な空気が、時代劇や歴史作品の舞台にふさわしい雰囲気を醸し出しています。
市街地からロープウェイでわずか数分というアクセスの良さも魅力のひとつ。喧騒を離れ、山上の静寂に包まれるひとときは格別です。姫路城の華やかさとはまた違った「祈りの姫路」を感じられる場所として、多くの人が心を癒やしに訪れています。