前回の「伏見稲荷大社」参拝後訪れた石峰寺は、江戸時代に活躍した絵師・伊藤若冲が晩年を過ごし、その生涯を終えた黄檗宗の寺院です。
山門と東門は個性的な竜宮造りで、朱色が緑の草木に映えていました。

人混みで騒々しいくらいだった伏見稲荷大社とは正反対の静かな境内に思わず深呼吸。
参道わきには白蝶草:ガウラ(おそらく)という白くて可憐な草花とハルシャギク(おそらく)が咲き揃い、境内を可憐に彩っていました。

本堂の勾欄(こうらん)は、宇治黄檗の萬福寺と似た卍型で異国情緒が漂っています。

本堂手前のわき道は、伊藤若冲が制作した五百羅漢の石像群が見られる裏山へ続いています。

石段を上がった先には現在400体以上(制作当時は千体以上あったそうです)の羅漢像が立っていますが、そちらは現在写真撮影もスケッチも禁止です。
お釈迦様の誕生から涅槃に入られるまでを表している石像たちからは、形容しがたいパワーを感じました。

石峰寺は伏見稲荷大社からは歩いて5~6分の距離にありますが、まだ海外の方には知られていない貴重なお寺。
このまま静かに知る人ぞ知る大切な場所のままでいて欲しいという気持ちと、これこそ京都本来の姿だと知っていただきたいという願いもあり、正直なところ複雑な思いです。
できることなら、すべての観光客の方に京都のたたずまいのそのままの姿をゆっくりと静かに、静かに楽しんでいただきたいと望んでいます。